20日に図書館で借りた本を読み終えた

『世界の名著 7 プラトン 2』
・「魂」の現れと離人症などの解離症状との類似
・有閑階級が生活への現実感を喪失し永遠なる物自体を信仰しはじめる
・民主主義とファシズムの類縁性(!)
・翻訳の駄目さ加減

『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』 リリー・フランキー
 さっき読み終えたばかりだが、実際の内容はジュンク堂で拾い読んだときの印象とはかなり違っていて、それについては読みながら反省した。多少はお涙頂戴かもしれないが、「幇間的」ではなかったかもしれない。立ち読んだときはどういう訳か(眼に触れたのは「講談社に勤めています」のくだりだったか)マスコミ産業にひどく阿っている印象を持ったのだが、主人公が舞台美術専攻で就職先としてテレビ局を捉えているとこなどを念頭に置くと、素直な憧れの表出なのだと考え直すに至った。
 冒頭で、本作のモチーフとなっているところの東京タワーが東京の中心に位置する旨強調されるのだが、バージェスの同心円地帯構造論が頭に浮かんでしまって違和感を覚えないでもなかった。考え方にもよるだろうが、都市の構造として真に東京の「中心」と言えるのは皇居か霞ヶ関・永田町界隈であるように思う。ゆえに出だしで少し躓いた格好だが、以降は順調に読み進めた。
 母一人息子一人の家庭に漂う微妙な近親姦的な雰囲気が不思議な緊張感を与えていて、作品を読み進めさせる原動力になっていると思う。ある種の怖いもの見たさというわけだが、結局どこかで近親姦の告白がなされるわけではない。そのような雰囲気の中で、母親と息子を中心とする悲喜こもごもの家族史が訥々と語られるだけだ。年老いた母親は主人公を訪ねて九州から上京し、最期には体中を癌に侵され死んでゆく。
 物語は小細工を弄しているように感じられる箇所も幾つかあるのだが概ね誠実に語られていて、大抵の読者の心の琴線に触れるだろうと思われる叙述もある。ただ、結び近くで著者が「誰もがボクと同じ悲しみを経験する」と主人公に言わせているのには、押し付けがましさと想像力の貧困を感じないでもなかった。確かに、誰の母親も必ずいつかは死ぬのだろうけれども、その事実を知って子として覚える感情については人それぞれかもしれない。

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