むにゃむにゃ...

 「日本」という国号は天智天皇の即位時に定められたらしいが、日いずる処という意味であるなら、当時として何より唐から見て太陽が昇る方角にある国という意味に違いなく、そんなには誇らしい何かではないかもしれない。わが国全体から見れば、日いずるのは太平洋からであるし、太陽そのものがわが国から湧出するわけではないことは言うまでもない。
 日本海の呼称問題で、言葉の意味として、「東海」も滑稽だが元来「日本海」も微妙である。わが国から見れば、日本海は、能登半島の東岸域等の特定地域を除いては、日の沈みゆく海でしかない。
 長く固有名として使用された場合に言葉の原義が希釈あるいは歪曲されるということはままあることだとしても、国としての呼び名が卑屈かつ自意識過剰っぽい意味を如何ほどか帯びているということは、中国の拡大期がまだまだ持続しそうな昨今において、多少なりとも、思い返されてもいいかもしれない。

 宮脇淳子によれば、漢字が表意文字でありうるのは、'market language'だからということのようだが、漢民族が商業民族として特徴的であるのはそうだとしても、厳に交易を前提としない古代文字言語というのも想定しづらいわけで、そんなには説得的ではない気がする。確かに、絵文字のようなものが、他の文字言語圏あるいは文字を持たない言語圏に対して、また同一言語圏の文盲者に対して、コミュニケーションツールとして一定の利便性を発揮するであろうとは思われる。しかし何か更なる付加的な条件が示されないと、漢字の特殊性を説明するには、十分でない。漢字文化圏を除くと世界に現存する文字言語のほとんどすべてが表音文字を使っているのだ。

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