カジモド

 バレエばっかり観てるわけではないのだが、今月鑑賞したDVDのリスト。

・白鳥の湖(スカラ座)
・ジゼル(スカラ座)
・ファラオの娘(ボリショイ・バレエ)
・シルヴィア(オペラ座)
・こうもり(スカラ座)
・スペードの女王(ボリショイ・バレエ)
・ノートルダム・ド・パリ(オペラ座)

・ドンキホーテ(新国立劇場バレエ団)〔予定〕

 『シルヴィア』は、強い主張やテーマも、あるいは波瀾万丈のストーリーもないふわふわした作品なのに、観客が全体に酔いしれ満足していた。これは観客おのおのの人生経験を美化する装置としてバレエ作品が機能していたからかもしれない。観客は、眼前の舞台で繰り広げられるダンサーの動きやポーズのバリエーションを、象徴として摂取とすることで、自らの過去を美的に再体験し、快楽を得ているもののような気がする。これは喋りも歌いもしない非言語的芸術のバレエだからこそできる独特のカタルシスかもしれない。仕掛けを意図的に簡素にしてイマジネーションの許容範囲を広げ、メインストーリーを舞台の側ではなく観客自身の側に置くのだ。
 カジモドの身体障害をバレエの技法によって表現する『ノートルダム・ド・パリ』は、上記の対極かもしれない。ストーリーはむしろ重要であり、またテーマを中心にすべての構成要素が統御されている。メインストーリーはむろん「舞台の側」にあって、バレエとはいえリアリズムを目指していると言っていいのかもしれない。
 しかし、本物の身体障害者達が『ノートルダム・ド・パリ』をどう受け取るか、と問うと、意識に引っかかるものがあった。涙する一般の観客を、彼らはどこか冷ややかに見つめるかもしれない。

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