2017年11月アーカイブ

 少しだけ以前より英語が上達している感じで、しかし多少開けた視界が美しいとは限らず、腹の立つことも少なくないのだが、日本人の弱い立場も思い知らされる。

 アメリカ人が政治の話を好むのは共通の話題がそれしか無いからだと思うが、ぼんやり一般人のコメントを追っていると名状しがたい違和感に苛まれる。政治と個人の距離が近すぎる。それは彼らが普段から政治的な危機と隣り合わせで生活していることを意味してもいると思う。

 アメリカ合衆国がネイティヴアメリカンが使いこなせず死蔵していた途轍もなく厖大なリソースを強奪した上に成り立った近代文明であるとの指摘はよくあるけど、現在の日本は二次的にその強奪のおこぼれに与っている国なのだ。他人事のような正義面は滑稽かもしれない。
 アメリカ合衆国という国は、夏の夜の樹液に誘われた雑多な生物の集合に似ている。(キリスト教を除いて)ほとんど何の共通点もないが、樹液が出ている分には彼らはひとつに統合されることを享受する。結果として形成された社会の多様性それ自体がアドヴァンテージだとは、私はあまり思っていない。アメリカのように多様になれば豊かになるというような考えは、因果を逆に捉えているのではないか。

 よく一般のアメリカ人はバカだという論調があるが、私はそんな感想を持っていない。分数や日本の位置を知らなくても彼らは生きて行ける。むしろ、軋轢の多い社会で他のことに知性を使わなければならないのであって、その中には比較的高度な(凡庸な日本人が普段考えもしない)抽象的判断が含まれていると思う。

 同時代としての日本社会のアドヴァンテージは平和で均質的であることだけではないか、と思ったりする。あとはほとんど全部負けてる。移民を入れるとそのアドヴァンテージも失われるのかもしれない。

 外交のディテールが一般人に分かるわけがないのだが、トランプのような自己愛的な人物に対しては話を合わせるような態度が共謀関係への入り口としてうまく機能すると思われ、総理大臣の対応の仕方は悪くなかったと思う。あまり卑屈になりすぎると良くないがぎりぎりのところで踏み越えずOKではなかったか。

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