違法投薬により大阪の精神科医が書類送検

 この事件、新聞記事その他で詳細を知るには限界があるが、果たしてどの程度常習的にやっていたのか。また犯人(らしき人物)の某国会議員ブログへの投稿が意味するものは何なのか。以前にも書いたが、私は日本の精神医療についてある種の「疑い」を持っている。この学問領域において最も先進的と思われるアメリカで書かれた書籍を読んでも、まだまだ沢山の発展の余地があると率直かつ謙虚に表明されていたりするのに、メディアに露出する日本の精神科医達の不自然なほどの断定的態度に猜疑を感じないではいられないのだ。
 精神科医という仕事は現状においては、不十分な武器で怪物と戦うようなものである他ないだろうと想像する。名もなき誠実な精神科医達はおそらく、他科に対して比較的安いと言われる報酬に甘んじながらも、現場で悪戦苦闘して合わない辻褄を合わせる手探りのような毎日を送っているに違いない。そうであって欲しい。
 ただ、巷に流布するセールストークのような「必ず治ります」の安請け合いから、この種の医師の側の投薬中毒、直接診てもいないのにTVに出て雅子妃をディスチミアだと「診断」する輩まで、犯人(らしき人物)が国会議員のブログでコメントするように確かに日本の精神医療は「惨状」に近いのかもしれない。

処方せん出さず睡眠薬を販売、大阪の精神科医ら書類送検
 不十分な診察で処方せんを発行しないまま知的障害者らに睡眠薬などを販売したとして、近畿厚生局麻薬取締部が、大阪府羽曳野市の精神科医・角田鉄太郎容疑者(54)と奈良県御所市などの薬剤師4人の計5人を、麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で書類送検していたことがわかった。 角田容疑者は容疑を認めた上で、「診療報酬が目的だった」と供述しているという。 同取締部によると、角田容疑者らは共謀して昨年3~9月、同県内の知的障害者施設3か所の入所者計57人に、処方せんがないのに数百錠の睡眠薬などを販売した疑い。角田容疑者は、薬剤師4人に錠数を連絡して睡眠薬を各施設に届けさせ、後日、処方せんを薬剤師に渡していたという。(2009年4月13日20時26分 読売新聞)
「面倒で」と数年前から違法行為 麻薬取締法違反容疑の医師
 処方せんを発行せずに睡眠薬などを譲渡したとして麻薬取締法違反の疑いで書類送検された角田鉄太郎医師(54)が、数年前から同様の違法行為をしていたことが13日、近畿厚生局麻薬取締部への取材で分かった。 麻取部によると、角田医師は「処方せんを作成するのが面倒だった」と話している。睡眠薬を譲渡した患者を診察しないケースがあったが、自らが開業する奈良県葛城市の診療所「クリニック サザン・ウインド」で診察したことにし、診療報酬を不正に受給した疑いもある。 送検容疑は昨年3月と9月、奈良県内の薬剤師4人と共謀し、同県の知的障害者施設3カ所の入所者に、処方せんがないのに睡眠薬や抗うつ剤などを譲渡した疑い。 麻取部によると、同クリニック内で患者を診察していた様子はなかった。(4月13日17時40分 山陽新聞)

で、ネット検索すると、当人と憶測される同姓同名者が島尻あい子参議院議員のブログ2008年01月02日のエントリーに対してコメントしている。
前略
御多忙のところ畏れ入ります。
賢明な先生におかれましては、御自分の選挙区の医療崩壊の惨状について既に御存知のことと存じます。
私は、精神科医を仕事にしておりますが、先般、自民党内の小委員会で『厚生労働省の「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案 - 第二次試案 -」をもとにした「診療行為に係る死因究明制度等について」制度化する動きを知りました。

先生は国会議員として様々な業績を重ねてこられたことは重々存じております。
その先生の御経験からご覧になって、御意見をお聞かせ下さい。

このままでは、日本の地域医療は、確実に崩壊すると危惧しております。救急車は走っても、搬送先の病院に医師がいなくなってしまうと思います。
拙速な『医療事故安全調査委員会』の設置を行うことは、今以上に医師が地域の救急病院だけではなく、あらゆる急性期の患者さんを診察する医療機関から医師が一名もいなくなってしまう可能性が非常に高いと考えております。

宜しくお願い申し上げます。
Posted by 角田 鉄太郎 角田 鉄太郎 角田 鉄太郎 at 2008年01月16日 13:21

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この医者は二重人格だったと思います

自身の医院では診察せずに架空請求繰り返していたのに、公の場では医師の権利を守るための闘争をしていたらしい。

先月末死去された様子ですが・・・・

 匿名さん、コメントありがとうございます。
 件の医師が二重人格だったかどうかは分かりませんが、一般論として、精神科医になろうとする人は自分自身に何らかの問題を抱えている人が少なくないかもしれないとは思います。自己の偏りや弱さに対する興味から発展してその道を選ぶということはそんなに不自然な道筋ではないような気がしますし。ただそういう人はある意味で「患者の気持ちが分かる医師」にもなり得るわけで、良い風に出るか悪い風に出るかは微妙なところかも…。
 角田医師がお亡くなりになったことは知りませんでした。先月末辺りから急に角田医師のキーワード検索から来る人が増えていたのですが、そのわけがやっと分かりました。情報ありがとうございました。
--------------------------以下引用------------------------------
http://mainichi.jp/kansai/news/20090828ddn012040030000c.html
心中:向精神薬不正処方容疑の医師、奈良で
 27日午後5時半ごろ、奈良県葛城市のマンションで、大阪府羽曳野市羽曳が丘4の精神科医、角田鉄太郎医師(54)と大阪市内の女性(50)が死亡しているのを県警高田署員が見つけた。県警は心中とみて調べている。

 県警によると、25日に角田医師の家族から大阪府警に家出人捜索願が出ており、高田署員が関係先のマンションを捜索し、遺体を発見した。玄関は施錠され、室内にコンロで炭を燃やした跡があった。外傷はなかった。

 角田医師は、奈良県内の知的障害者施設3カ所で適切な診療をせずに向精神薬を処方したとして、近畿厚生局麻薬取締部が麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で書類送検していたことが4月に判明。その後、県警が診療報酬などを不正受給した疑いで捜査していた。(毎日新聞:関西)


http://www.sankei-kansai.com/2009/08/28/20090828-013884.php
書類送検の医師が女性と心中か
 27日午後5時半ごろ、奈良県葛城市のマンションの一室で、大阪府羽曳野市の男性(54)と大阪市の女性(50)が死亡しているのが見つかった。高田署は心中とみて調べている。捜査関係者によると、男性は和歌山県内の複数の知的障害者施設の嘱託医。処方箋(せん)のないまま薬局から向精神薬を違法に譲り受けたとして、近畿厚生局麻薬取締部が麻薬取締法違反の疑いで奈良地検に書類送検していた。

 高田署によると、2人の着衣に乱れはなく、外傷もなかった。室内で木炭がたかれていたという。(2009年8月28日 08:03)(産経新聞:関西)

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