本作は発表の時期的に俳優・高島忠夫の第一子が家政婦によって殺害された事件(1964)に影響を受けているかもしれないと気がついて、特に作中の家政婦の人物造形の独創性に関して自分としてかなり留保的な感じに。ストーリー自体は無論事件とは全然違う。しかし、その他「愛情対象変更」のモチーフなど、あとなぞるような道具立てが眼につき始めると一挙に作品が陳腐に思えてくる。家政婦のあの異様な存在感が、本来相互に関連のない要素を無理に放り込んだために起きた創作上における技術的破綻のように思えてくる。
小島信夫『抱擁家族』が発表されたのは1965年だが、どうだろう。
小島信夫の『抱擁家族』て戦後文学の中ではそこそこの名作だと思ってたけど
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