人に証明できること

  ミラノ・スカラ座バレエ団がザハロワを迎えた『白鳥の湖』のDVDを流しながら書いている。このところ少し抑鬱になりがちだったのだが、いい舞台で、なんだか取り直してきたかも。ただ『白鳥の湖』はこのあとバッドエンドになるはずではあるが...。ザハロワ出演作は『ドンキホーテ』もあったので借りる予定。私がいつか観たザハロワ出演の最初の作品は、日本の新国立劇場バレエ団が彼女を呼んだ『ライモンダ』だったのかもしれない。あんまり自信ないが、ひとりの男性客がうるさく叫んでいたらそれだが。
 鑑賞するのは別にザハロワ作品じゃなくてもいいのだけど、乗りかかった船というか。

 私はあんまり躁鬱の幅がないというか、あってもそんなに「効かない」変な体質のはずなのだが、どういうわけか昨今「解凍」してきたらしく、このところやや気分が沈みがちになったりした。抑鬱から脱出する内的手順は、
①人は不完全な存在だから、厳密な意味での絶望が許されないことを思い出す。
②何か認めたくない現実があるはずなので、それを特定し認める。
という感じであろうか。①は抑鬱に潜む行き過ぎた断念に対する批判を糸口にして、希望の前駆体というかその兆しを復元するというもの。とは言え、気分が沈むにはそれなりの現実的で妥当な理由があったりするのであり、その現実が覆るわけではないのだが、反駁の余地をごく控えめに確保するだけでもずいぶん違う。無知蒙昧なる人間に厳密な次元での断念は許されないのである。②は認めるべき認めがたいことを特定し認めてしまうということで、自己の内的な再構成を行うということである。以前紹介したバーンズの著作もそうだが、②は鬱病関連の本にたいてい書いてあるような心的操作で特に珍しくはない。

 『白鳥の湖』観終わったけど、なんかハッピーエンドになっていた。そういう演出にしたのでしょう。

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