DSM5の終盤(SECTION III)には人格障害に関する従来(SECTION II)とは違う診断モデルが紹介されている。説明によると未来に向けた仮の案という感じなのだが、わりとこれが面白い。大雑把に言えば、さまざまな人格障害を今までより統一した物差しで計ろうとする試みであり、人格障害診断全般に共通する基礎部分として提示されているのが表題の四要素なのである。
私は以前紹介したカーンバーグの現実検討能力の定義をふとした日常においてそこそこ反芻してきたのだけど、最近は上記のDSM5内に書かれる人格機能の四要素を唱える(!?)ことも多い。
この基礎部分の上に各人格障害の病理学的な細かな諸特性がのっかることになるのだが、これらはまたNegative Affectivity,Detachment,Antagonism,Disinhibition,Psychoticismの五領域におおまかに分類されることになっている。
従来の単純箇条書き的な診断基準と意味内容が乖離するわけではなく、同じことを別の言い方で表現しているに過ぎないのだと思うが、診断の重複や曖昧さをできるだけ避けるように工夫されているのだと思う。このやりかたがそのまま次のDSM6に採用されるかどうかは分からないが、確かに判りやすいような気もする。ただ、設定された共通概念が具体例に対してそううまく(あるいは有意義に)機能するかどうかが問題かもしれない。
Identity,Self-direction,Empathy,Intimacy
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