いわゆる『ヤマアラシのジレンマ』と呼ばれる思考実験は、哲学者ショーペンハウアーが作った寓話から来ている。ショーペンハウアー『余禄と補遺』第二巻第三十一章『比喩、たとえ話、寓話』内の最後の節である第三九六節がこれに当たる(右画像は白水社『ショーペンハウアー全集14』p306-p307から)。
この寓話をニーチェ(『悲劇の誕生』二二)やフロイト(『集団心理学と自我分析』Ⅵ)が引用しているということで、それぞれ該当箇所を実際読んでみたのだけど、やや拍子抜けというか、そんなに重要な扱いではない感じだった。ニーチェの方は、魂を揺さぶるはずの芸術を凡庸な批評によって社交のつなぎのように消費する聴衆の退廃について述べるときに、この寓話を引用している。フロイトの方は、人の心はアンビバレントな面があるという一般的な説明の例示として、あくまでゆるく引き合いに出している感じで、その後に、集団的な陶酔がそういう個人間の自己愛的な牽制を取り払ってしまう場合があると本題に続いてゆく。
下はYOUTUBEで見付けた仲のいいアルビノ・ヤマアラシのつがいの動画です。最後に交尾しています。求愛のシグナルなのか、オスがしきりに足踏みするのがかわいい。針毛が寝ているので特に痛くはなさそうです。たぶん。
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