このサーバでこのブログを始めた頃に、あるしょうもない事情で私は慣れない法律の勉強(入門)をしていたのだが、その際直接は関係ない憲法の参考書も買ったり借りたりして一応読んだりしていた。それまで、私は「日本の自衛隊は憲法違反だ」と思っていたのだけれど、たとえば右画像のページに出会ってその考えを留保するようになったりした(当時の参考書『2008年版 憲法』《LEC東京リーガルマインド》をまだ持っていたのでそのものをアップした)。
民主主義社会の憲法典は固定化されたものではなく、時代の変化やそれ自体の瑕疵の発見等に伴って臨機応変に改正されてゆくべきものなのは、成文法の法治国家として言うまでもない。憲法典に反する現実がすべて排斥されるべきものであるずはなく、より良く充実するならそれに合わせる形で、新たな加筆修正等がすみやかに実行されるべきだろう。
しかし、その成文化ができない事情や背景がある場合に、見かけ上憲法典に反するような事柄でもそれがあきらかに人々にとって妥当な現実なら、憲法典に手は加えないままでも、それに反するより妥当な現実を「憲法現実」として優先させるべきである、特殊な状況がありうるかもしれない。少なくともそのような学説がありうるかもしれない。敗戦後の日本はその意味でやや特殊といえる状況に該当する時を過ごしたかもしれないとも思う。
多少持って回った言い方をしてしまったが、国の最高法規としての「憲法」が必ずしも憲法典のみによって定義づけられなければならないわけではないという主張は、考えてみればそれなりに自然なものである。そして、わが国の自衛隊が現に憲法典に反して存在しているとしても、憲法現実として捉えなおせばそれとして合憲であるという「考え方」がありうるのではないか。そう思って、私は憲法9条の字面だけを見て自衛隊が違憲だと脊髄反射することをやめたのであった。
ここにあきらかに不備を含んだ憲法典があるとする。それに反する法律が憲法典自体の不備を補うようなら、憲法現実の優越の観点から「合憲」かも知れない。
私は「現行憲法無効論」は採らないことは以前に書いたけど、それは今も特に変わらない。
コメントする