悲しんだり落ち込んだりしている人に気を大きく持とうと言うのは罪のない励ましだけど、巨視的だったり微視的だったりすればするほど、認識は私たちの所与の感覚から離れてゆく。『宇宙の広さに比べればあなたの悩みなど無に等しい』と口走るとき、宇宙の広さは自明の認識のようだが、本当は実際の宇宙の広さなど誰にもイメージできない。逆にどんなものも極小の元素に還元されるにすぎないと主張するのもそれとそんなに変わらない。いずれにせよ極めて間接的かつ抽象的な認識があるだけだ。
時々認識の縮尺を大きくしたり小さくしたりするのは、人の心にいい効果をもたらす面があるに違いない。登山なんかもそういうリフレッシュ効果を持っている気がする。下界を見下ろして些事に悩んでいる自分を相対化するわけである。
しかし、人が何を妥当だと思うかは、普通はどうしても日常的な感覚から離れられないと思う。それを超越したような地点において、一時的でない認識の変革を促すことは、日常感覚を捨てさせようとすることとほぼ同義ではないかと思う。何かの修行で、抽象的なものをより確実視するように意識を逆転させるとかそんな話になりがちだ。
そのような認識の無理なモード変更のようなこととは違い、欠けていた現実的な真実への認識が補われることで世界が変わって見えるということのほうが、現代的な覚醒かもしれない。ネットでは、かつて共同体が見たくないと思っていたりメディアが伝えたくないと思っていた情報も流され残ってゆく。人々は結局様々な真実に向き合わざるを得ない。
最近'RED PILL'というフレーズを知ったが、覚醒はむしろ日常化していると思う。
ENDLESS RED PILLS
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