共謀するナルシシスト

精神の科学 第七巻 p137.jpg
精神の科学 第七巻 p137より抜粋
 前回のエントリーがまた変な感じになってしまったが、岩波の『精神の科学 第七巻』を読んでいた。その中の、病者同士がカップルになったり家族を構成することで発生する悪循環について述べた中野良平の論文「神経症的結婚」を読んでいて(ほとんどJürg Willi という精神科医の著作を中野がまとめただけみたいな感じだが、日本の学者ではそういうのはよくある)、いろいろ思い返されるというか、考えさせられてしまった。
 今で言う「共依存」みたいなことの分析で、フロイト的解釈の線に従っていてかなり古いのだが、相当に的確な叙述があるように思えた。抜粋した右図は自己愛的夫婦の悪循環を表していて、ナルシシスト同士の男女が主と従の機能に分かれて一体化し、まるで閉じられた一個の回路のように、自己愛的小宇宙を構築しながら内部に葛藤を再生産している様を表している。
 カップルだけでなく親子の場合もある。『この種の母親は子供を自分自身の一部としてしか認識していない。子供の自律性が育ち、自分で話し歩くことを学び主導権を発展させ、母親から離れていこうとすると、子供が自分自身を固有の自己として感じられないようにするために戦略をめぐらせる。~(p134)』
 口唇期から始まるフロイトの発達理論の前段階に自己愛の項目を設けて各段階ごとに悪循環を解説しているが、自己愛以外の項目はやや微妙かもしれない。あるいは肛門期よりあとはトーンダウンしてぼやけていく感じもなくはない。
 力ある古い本により、雷撃に撃たれることがある。理論の新旧は問題ではなく、その時代に生きた人々の現実が封じ込められているから強いのだと思う。
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